木質ペレットとは?|利用の歴史と将来的な環境保全への期待について

木質ペレットについて

ペレットとは、木材を粉砕して作ったチップを筒型のプレス機で押し出し粒状に整形した燃料です。

薪や炭よりも着火が簡単で、貯蓄や運搬も容易なことから家庭用のストーブやバーベキューの燃料などに幅広く使われています。

木材からできるペレットは、「木質バイオマス燃料」の一種で、固形燃料に分類されています。木質バイオマス燃料とは、木材そのまま加熱させ熱を得たり、加工、発酵させて燃料化するものです。

発酵させたものは、バイオエタノールや混合ガスといった形に変化して、様々な分野での活用研究が進められています。

では、木質バイオマス燃料の中でも、ペレットの形で利用することのメリットは何なのでしょうか。ストーブの燃料として優れている点も解説していきましょう!

ペレットとは木材由来の粒状燃料

別名「固形粒状燃料」とも呼ばれるペレットは、間伐材、樹皮やおがくず、流木やダム流木などから作られる燃料です。

基本的に自然の木材をそのまま加工してあり、家屋を解体したときに出る建築廃材は用いられません。

建築廃材には化学塗料などの有害物質が含まれていることがあるので、可燃ガスの安全性に不安があることからペレット加工には向かないのです。一部、工業用の大型ボイラーの燃料として利用されることはありますが、家庭用ストーブのペレットはすべて自然の素材からできています。

ペレットの作り方

ペレットを作るには、まず木材をハンマーミルや歯車などで粉砕し、細かいチップにします。次にダイスと呼ばれる機械で熱を加えながら棒状に推し固めて短い筒の形に切り出していきます。

加熱されることで、木材の中のリグニンという接着成分が柔らかくなり砕かれたチップ同士が高い密度で密着します。

ですが、最近ではリグニンを含まない状態でも接着は可能だということが分かっています。木の分子同士が水素結合を起こすことで、同じく密度の高いペレットが作られるのです。

(参考文献 「地域ではじめる木質バイオマス熱利用」 日本木質バイオマスエネルギー協会編集 2018年5月)

ペレットの利用の歴史

ペレットは1970年代に、家畜飼料を整形する技術を応用しアメリカで生産が始まりました。

その後石油危機を経験した世界は、代替燃料として木材に注目。ペレットの需要や生産も高まっていきました。日本にも1981年に技術が導入されています。

木材は、日本が唯一自給できるエネルギー資源という考え方があります。国土の大部分が森林で覆われているので、木を切って薪にして燃やし、暖房や調理に使うというライフスタイルは古来から非常に身近なものでした。

その歴史もあったので、エネルギー源としての利用目的はごく自然に浸透し、燃料自給率を高められる、石油依存から脱却できるという期待もあって導入が進められたのです。

しかしその後原油価格の下落によって、高コスト生産物であるペレット燃料は、非効率だとして生産が激減してしまいます。

ちなみにペレットの原材料を紙パルプの価格に置き換えて考えると、1キロ15円ほどコストがかかります。これを原油と同程度かそれより低い負担に抑えるには、1キロ5円までコストカットしなくてはいけないと考えられています。

(参考 「きちんとわかる木質バイオマス」 産業技術総合研究所 2009年4月)

また80〜90年代に生産されたペレットは品質にムラがあり、ボイラーやストーブとの相性によっては不完全燃焼を起こし危険でした。そのため、商用、家庭用の燃料として好まれなくなっていってしまったのです。

その後、1997年の第三回気候変動枠組条約締約国会議で、地球温暖化防止の目標が定められました。そこでペレットが再び注目されます。

ペレットは地域の木材を地域で利用し、発生したCO2を地域の森林が吸収して相殺することができます。そのため、温暖化の原因である温室効果ガスを削減することがでいるというわけなのです。

エネルギーの地産地消という新しい考え方、間伐材の再利用で荒れ果てた里山の再生が可能になること、それを通して地域活性の起爆剤になるのはといったな観点から2020年現在様々な研究が進められています。

ペレットの品質基準

ペレットをはじめとする木質バイオマス燃料には、原材料、形状と寸法、水分量、灰分(燃えたときに灰として残る成分の割合)、重金属の量などによって品質の基準が作られています。

特に水分や灰分は、多いと燃えにくい、灰として燃え残る量が増えるなど燃焼効率が悪くなるので、品質を確かめる際の重要なポイントと言えます。

無垢材を使い、水分が10%以下に抑えられていること。

また、木質ペレット品質規格案というものがあります。これによると、ペレットを作る際には下記のような項目が定められています。

・原材料に化学処置を行っていない樹幹木部、根や枝葉を除いた部分を用いること

・水分(質量基準含水率)は10%以下に抑えること

・灰分は0.5〜2.0%でなくてはならないこと

このように、日本で生産されているペレットはこの基準を遵守したものなので、品質は安定しており安全に利用することができるのです。

ペレット

日本で生産されているペレットはこの基準を遵守したものなので、品質は安定しており安全に利用することができるのです。

ペレットをストーブに用いるメリット

ペレットストーブは電気で着火する設計になっています。薪を使ったストーブよりも操作が簡単です。

また、薪は自分で切り出し乾燥させないと上手く燃えないのですが、ペレットはすでに水分が十分抜かれているのでそのまま保存、備蓄しておくことができます。

燃焼ガスもクリーンなので、煙突掃除の手間もかかりません。

ただし、加工にコストがかかっている分、薪に比べて高額ということは考慮しておいてください。

まとめ

ペレットを含む木質バイオマス燃料は、エネルギーの地産地消という新しい生活様式を作るきっかけになると期待されています。

特にペレットは、小さく成形されているので扱いやすさ、保存のしやすさ管理のしやすさなどのメリットがあります。しかし、無垢材に比べると高額になるのがデメリットと言えます。

間伐材を用いるペレット生産は、伐採されるべき木が放置されて、里山が荒廃してしまった現在で、環境問題や経済発展の鍵となるかもしれません。

ストーブの燃料として用いるのが容易なペレットを、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。