薪ストーブの燃焼方式の違いによるパフォーマンスの比較

薪ストーブを購入するとき、本体の価格で悩むこともあるのではないでしょうか。

一台一台が高額なので、簡単に決断できませんよね。できるだけ安く抑えたい、と思っている方も多いかもしれません。

ですが、ストーブにはそれぞれ燃焼の仕方による特徴の違いがあります。

さらにサイズや用途、操作方法などによっても使いやすさが変わるでしょう。価格だけで選んではかえって使用するコストパフォーマンスが悪くなるかもしれません。

そこで、燃焼方式の違いについて解説します。自宅にぴったりなストーブを選ぶ参考にしてください。

 

燃焼方式の違い、触媒方式と非触媒方式

薪ストーブには、触媒を使って不純物の燃焼を促す「触媒方式」と、空気のとり入れ方を操作することによって二次燃焼以降を起こす「非触媒方式」があります。

 

それぞれの方式により、温められる面積や薪の消費量が異なります。そのため、どのくらいの広さに設置したいか、どんな場所で使いたいかなどによって方式をえらばなくてはいけません。

排気ガスをきれいにしたいのなら、触媒方式が向いています。

また薪の消費量を抑えてコストカットしたいのなら、触媒方式と非触媒方式を合体させたフレックスバーン方式がおすすめです。

それぞれの燃焼方式の特徴と、具体的なストーブについて説明していきましょう。

非触媒方式のストーブの種類は4つ

非触媒方式のストーブは、二次空気、三次空気を取り入れることで燃焼の次元を上げ、排気ガスをクリーンにすることが可能なモデルです。具体的に、クリーンバーン燃焼、リーンバーン燃焼、ファイヤードーム燃焼、さらに触媒方式の要素取り入れたフレックスバーン燃焼の4つの種類があります。二次燃焼までのモデルと、四次燃焼まで起こせるモデルなど様々な種類が販売されています。

クリーンバーン燃焼

クリーンバーン燃焼構造画像

クリーンバーン燃焼方式のストーブでは二次燃焼を起こして煤とタールを完全に燃焼させます。他の方式のストーブが一次燃焼と二次燃焼を違うスペースで行うのに対して、クリーンバーン燃焼のストーブは一つのスペース内で二次燃焼まで行います。そのため構造がシンプルになり、ストーブのメンテナンスも簡単です。

排気ガスは四次燃焼方式ほどきれいではありませんが、90%の煤を燃やすことができ、煙突掃除などをしっかり行えば長く快適使えるモデルです。

着火もしやすいので、ストーブの火の扱い方に不安がある方におすすめなモデルと言えます。

 

クリーンバーン方式のストーブの例としてダッチウエスト社の「プリマス」を紹介します。暖房面積が93㎡と小さめです。アメリカで設けられた排ガス規制の基準をパスしているので、煙突も汚れにくく長い間使いやすいモデルです。

 

リーンバーン燃焼

リーンバーン燃焼構造画像

リーンバーン燃焼方式のストーブは、四次燃焼までできるように設計されているので、排気ガスはかなりきれいになります。触媒方式のストーブに近い性能といえます。

対流空気取入口からたくさんの空気を燃焼室内取り込むことで、薪1に対する燃焼空気の量が14と多くなります。それだけ薪の消費を抑えられるので、コスパも良くなるのが特徴です。

 

リーンバーン燃焼方式のストーブの代表例が、ダッチウエスト社の「エンライト」です。鋳物製の本体から輻射熱が発するので、部屋全体を温める暖房効果が高いのが特徴。

サイズは3種類あり、一番小さなスモールの暖房面積が130㎡になっています。次に大きなミディアムでは暖房面積が149㎡。最も大きなラージでは暖房面積は186㎡です。

フレックスバーン燃焼

フレックスバーン燃焼構造画像

触媒方式と非触媒方式の構造を合体させた燃焼方式です。三次燃焼まで行い、長時間薪を燃やすことができ、コスパがよいのが特徴です。

一次燃焼を行って出た排ガスを二次燃焼室に送り煤とタールを消費させます。その後、触媒を通して通常の三次燃焼よりも低い温度でガスを燃やすことができます。そのため、薪の使用量を抑えて長く部屋を温め続けることができるのです。

フレックスバーン方式のストーブで有名なのがバーモントキャスティングス社の「アンコール」です。暖房面積は167㎡となっています。上部から薪を投入できるように設計されています。オーブン料理もできて、毎日の食事にも利用したいというひとに向いているモデルです。

ファイヤードーム燃焼

ファイヤードーム燃焼構造画像

ファイヤードーム燃焼方式のストーブは、レバーで空気の量を調節し、一定の温度で薪を燃やすことができます。そのため、ストーブの種類の中で最も燃焼時間が長く、最長17時間も部屋を温める事ができます。二次燃焼までなので、排気ガスは若干不純物が残るかもしれません。

ファイヤードーム燃焼方式のストーブの例として、ハーマン社の「オークリーフ」があります。暖房面積も334㎡と広いのが特徴です。そのため、広い空間にストーブを設置したい場合に向いています。

触媒方式のストーブの種類、キャタリティック燃焼

キャタリティック燃焼構造画像

触媒方式のストーブは、キャタリティック燃焼という燃焼方式が行われます。キャタリティックコンバスターというフィルターのようなものに燃焼ガスを通すことで、一次燃焼で残った不純物の90%を再燃焼させることができます。燃焼時の温度をコントロールすることもでき、例えば就寝の際に低温で長く薪を燃やすことも可能です。排気ガスもきれいなので、メンテナンスも簡単にできます。

キャタリティック燃焼のストーブとして、ダッチウエスト社の「セコイア」があります。全体的に柔らかなフォルムで、シンプルなデザインです。暖房面積は最大で180㎡です。排気ガスが最もきれいなモデルなので、住宅街でも使いたいという人に向いています。

まとめ

長い時間部屋をあたためたい、広い空間で暖かく過ごしたいなどのニーズに叶う様々なストーブがありました。

家庭によって、周囲に住宅が多いから煙を出したくない、リビングが広いけどメイン暖房として使いたいなど状況は様々でしょう。排気ガスをきれいにしたいのなっキャタリック燃焼、簡単に使いたいのならクリーンバーン燃焼がおすすめです。本体の価格は高めでも、長く使えて薪の費用が少なく済むものもあります。

自宅の環境をよく考えて、ぴったりなモデルを選んでくださいね。